模型の制作は遅々と進まないのに、ツールばかり揃えてしまうふみまろです。
今回は僕が持っている模型用の道具の中で、スジボリ用の道具をご紹介したいと思います。
スジボリは文字通り筋(溝)を彫ることで模型の情報量を増やして、よりリアリティを出すことが主な目的です。
スジボリにスミ入れすれば、別パーツ表現ができたり、塗り分けるときもマスキングテープをこのスジボリの所で切れば本体を傷つけずに済みます。
手間はかかりますが、それだけの効果をもたらしてくれます。
それでは道具のご紹介。
ニードル
先のとがった物で線を彫っていくタイプ。
特に模型用でなくても金属製で先がとがっていて、ある程度細いものであればプラスチックモデルは削れるのでスジボリは可能です。
もちろん用途が違うので破損の危険はあるので注意しましょう。
僕もこういう道具を買う前は、コンパスの針の部分でスジボリしたときもありました。
元々ある溝を掘り直したり、ガイドテープなどを使って新規に溝を追加する。曲線も比較的スムーズに動かせます。
ファンテック 斬技シリーズ 超硬けがきニードル
先端の角度によって2種類あります。細く掘りたい場合は10度、太く彫りたい時は30度。
なんですが、ニードルは基本的に深く彫れ彫るほど線は太くなっていくので、10度の物でも深く彫ればそれなりの太さにはなります。
そういう性質があるので、線の太さを調整するのは結構難しいと思います。
一度に彫れる量も少ないので、何度も往復する必要があります。また、溝が浅いうちは力加減を調整しないと簡単に逸れるので注意です。
ちなみに写真の10度のニードルは先端が欠けています。机(高さ70センチ位)から落とした時に欠けてしまいました。
床はカーペットだったのですが、せんべい布団ならぬせんべいカーペットで弾力性が無かったせいで先端が欠けました。
繊細な道具なので取り扱いに十分注意しましょう。
鋭さがなくなってしまいましたが、スジボリくらいならできそうなのでそのまま使っています。
ラインチゼル・スジ彫りカーバイト・ラインスクライバー
こちらは一定の太さの線を彫ることができるツールです。ニードルとは違い曲面を彫るのはやや苦手。
刃のサイズが色々売っているので、それらを用意することで太さの違う溝を掘ることができる。
GSIクレオス・ラインチゼル
先端が鍵爪のような形になっており、そこでひっかいて彫っていくツール。
引いて削るタイプで、軽い力でもニードルよりも深く削ることができます。そのぶんズレたときのリカバリは大変。
ズレないように彫るには、なるべくラインチゼルをねかせて彫ること。
立てて彫ると途中で引っかかってラインチゼルがあらぬ方向に行くことがあります。特に最初の彫りが浅い場合はほぼ確実に引っかかって関係ない所に傷をつけることになります。
GSIクレオス・ラインチゼルの良いところは太さの種類が豊富なことと、他のスジボリ道具より少しお安め。
ただし、持ち手はついてないので別で用意する必要があります。
一応GSIクレオスからは専用の持ち手が販売されておりますが、結構高いのと0.3mmのラインチゼルがついていて単体販売はないようです。
持ち手問題は、最後のまとめで代用品を紹介します。
ニードルとラインチゼル、スジ彫りカーバイトなどとの違いは、彫った断面にあります。
ニードルは断面がV字状になっているので、彫れば彫るほど線が太くなっていきますが、ラインチゼル等は断面が凹上になるので、深く彫っていっても線の太さが変わりません。
ファンテック 斬技シリーズ スジ彫りカーバイト
さきほどのラインチゼルとは違って削る面は平らになっています。
そのため、ラインチゼルより引っかかりが無く滑りやすいので、いきなり力を入れて削るとかなりの確率で変な方向に行ってしまいます。
また、削れる量がラインチゼルよりも少ないので、同じ深さを彫るのにやや時間が掛かります。
どちらかというと中級者向きと感じます。
やや角度をつけて先端で削ります。最初の数回はもう少し寝かせて削ったほうが良いかも。
当然こちらも力はほとんどいれないで、ガイドにそってゆっくり引いて削ります。
このスジ彫りカーバイトも一定の太さのスジボリができます。こちらもサイズが複数用意されているので使いやすければ揃えてみては。
ハイキューパーツ ラインスクライバー
先端の形状は、ラインチゼルに似ていますが、ラインチゼルよりも先端の角度が穏やかなので、引いて削っているときに引っかかることはほとんどありません。
かなりスムーズにスジボリができます。
上から見た形状が先端に向かって細くなっているのもラインチゼルと違いますね。
なので、断面が厳密な凹の形ではなく、底面に向かってやや狭まっているような形になっていると思います。
まぁ、0.15ミリくらいのサイズだとそういう違いは全く分かりませんが。
持ち手はアルミ製で、実は結構軽いです。重さは15グラム。刃を保護するキャップもついています。
持ち手がついている分価格が少しお高め。2000円前後します。
ラインスクライバーの特徴
ハイキューパーツのラインスクライバーが上2つのツールと違う特徴があって、それが横に引いて削ることができることと背面で削ることができるということ。
形状が似ているラインチゼルでは横に動かして削ることはできません。おそらく刃が折れてしまいす。
説明書でも解説がある通りラインスクライバーは横に動かしてスジボリをすることが可能。引いて削るのが難しい狭い所にもスジボリをすることができるのです。
ただ、先端のほんの一部で削るのでスジボリの線はかなり細くなります。太さの調整は難しいと思います。
もう一つの特徴の背面で削る機能は、スジボリをはみ出した時に使えます。浅い傷であれば背面でちょっと削ってその後軽くヤスリがけすれば消えます。
また、スジボリした部分のバリ取りにも僕は活用していますね。
やや横に寝かせる感じでフチをなぞっていきます。注意点は先端の部分で余計なところに傷をつけないようすることです。
説明書だと射出ピン跡にも使えるとかいてありますが、正直それほど切れ味がいいわけではないのでゲート跡を削るのは少し難しいと感じます。
できなくはないですが汚くなりますので、ここはデザインナイフの方がよいでしょう。
ごく狭い部分のパーティングライン消しには結構有効です。たとえばハンドパーツとか。
曲面なのでその他にも使いどころはありそうです。
ラインスクライバーは、削りやすく取り回しやすいので初心者にも使いやすいと思います。
一応説明書には上級者向けって書いてあるのですが。
その他のスジボリツール
スジボリ用の道具は非常にたくさん販売されていますが、本来は別の用途で使う物でも実はスジボリに使える物もあります。
模型ツールは結構そういう物があるので、アイデア次第で意外なものがつかえるかもしれません。
デザインナイフ
プラモデル工作の基本道具の1つであるデザインナイフ。
ナイフなので切ることがメインですが、実は様々な使い方ができる万能ツールでもあります。
デザインナイフの先端のとがったところで横に動かして削っていきます。
ただ、デザインナイフは刃が薄いので場合によっては先端が折れる可能性があるので注意してください。
どちらかというと、デザインナイフで新規にスジボリするというよりは、他のスジボリツールで彫ってできたバリ取りやフチの整形に使う方がメインかと思います。
短いラインでスジボリするときにはデザインナイフを押し付けて引けば、ガイドテープなどが無くても直線が引けます。
これだけだとかなり細いのでラインチゼル等でなぞれば好みの太さにできます。
V字に刃を入れればデザインナイフだけでかなり太い線を彫ることも可能。
Pカッター
おもにプラ板をカットするのに使うカッターですが、こちらもスジボリに使えます。
やや太い溝になりますが、太さの違うスジボリを入れるといいアクセントになります。
物がちょっと大きいので少し使いづらい所はあります。
キサゲ
ちょっと不思議な形状をしている道具で、ぱっと見何をするのかわからないかもしれません。
基本的には削るための道具で、先端の両端と真ん中の山の所でカンナがけで削ります。
先端を拡大するとこんな感じ。
裏側は平らになっています。先端はとがっているので取扱注意です。
スジボリのやり方は、先端をガイドにあてて平らになっている裏側の方に動かします。上の写真だと右側に引いて溝を掘っていきます。
刃が丈夫で太いのでかなり安定してスジボリができます。色々つかいみちがあるので一本持っておくと便利です。
溝の太さは調整できませんが、ラインチゼル等で彫る前にガイドを作っておくのに使えるのではないでしょうか。
僕は持っていませんが、これら以外にもたくさんのスジボリ用のツールが販売されているので、自分に合った道具を探してみてはいかがでしょうか。
そして道具集めの沼にはまっていくのです・・・
持ち手
ハイキューパーツのラインスクライバー以外は、持ち手が付属していないのでそのままで使うか、自分で用意する必要があります。
一応それぞれに専用の持ち手が販売されています。
また、色々な口径に対応したピンバイスにつけて使用することができます。
ただ、スジボリしていて幅を変えたい時にいちいち取り外して変えるのは結構面倒です。一本一本個別に持ち手が欲しい所です。
しかし、専用の物は結構お値段高いので数を揃えるのはなかなか大変。
そこで代替品として100均のアイテムを使います。
シャープペンシル2ミリ:ラインチゼル用
こちらはセリアで買った物。100均でも色々なシャープペンシルが売っているものですね。
GSIクレオスのラインチゼルは接続部の口径が、2ミリのシャープペンシルにぴったり入ります。ジャストフィット。
2ミリのシャープペンシルは100均で普通に売っているのがうれしいところ。
色々なサイズを持っているとすべてに専用の持ち手を揃えるとかなりの出費になりますが、1つ110円なら気軽に買えますね。
使い心地は特に違和感はなかったです。純正品使ったことが無いので比較はできませんが。
やや太いピンバイスで使うよりは持ちやすいですね。
デザインナイフ:スジ彫りカーバイト用
スジ彫りカーバイト用の持ち手は少し工作が必要です。
用意する物はこれ。100均で売っているデザインナイフ。正直デザインナイフとしての切れ味はよくないです。
ダイソーでもセリアでも同じものが売っています。売り場はレジンとかアクセサリー用の小物を売っているあたりに置いてあることが多い気がします。
何故これかというと、刃を抑えている部分がプラスチックだから。この部分をピンバイスで穴を開けてカーバイトを差し込むわけです。
100均ではこれとは別のデザインナイフが売っていたりするのですが、そちらは抑える部分が金属製で穴があけられません。
ナイフの刃は使わないので外します。
僕はすでに何本か作っているのでこの替え刃が大量にあるわけですが、あまり切れ味が良くないので使い道が無いんですよね・・・
ピンバイスを用意します。
スジボリカーバイトの口径が約3ミリなので、使うドリル刃も3ミリ。ただ最初は1.5ミリくらいで穴を少し開けてからの方が、狙った位置に開けやすいかも。
こんな感じで先端からビンバイスで穴を開けます。
穴を開けるときの注意点は、ビンバイスを一回転はさせないこと。
というかたぶん一回転はできないと思うので、少し回して戻してを繰り返します。その時ナイフの方はビンバイスとは逆の動きをさせます。こうすることで少しずつ削れていきます。
結構削りかすが出るので、時々穴から出してカスを払いましょう。
このプラスチックは、粘りがあるというか柔らかいというか、刃についたカスは手では綺麗に払えないので歯ブラシがあると便利。
カーバイトがしっかり奥まで入るまで穴を開けましょう。慣れれば30分もかからずにできるようになります。
抑えを緩めれば、一応交換することもできます。が、あまり頻繁に入れ替えていると内部のプラスチックが折れるかもしれません。
ふつうにスジボリする分には壊れないと思います。
この方法は以前ネットで調べていて発見しました。オリジナルでは無いですが、大変便利だったので紹介しました。
少し手間はかかりますが、100円ちょっとで1本ずつ専用の持ち手ができるのはかなりお得ではないでしょうか。
まとめ
スジボリ道具は他にも色々発売されていますが、強度や切れ味が必要なぶん他の道具よりも結構高価なものが多い気がします。
高くても自分に合わない物だと作業の効率が下がってしまうし、高ければ作業が進む、というわけでもないのがなかなか難しい所です。
今回紹介した道具は、比較的リーズナブルなのでまだスジボリの道具を持っていない方はこのあたりから揃えて自分に合うか試してみると良いと思います。
最後に今回紹介した道具のまとめをしていきます。
ニードル
- 取り回しがしやすい。
- 力の調整をしないと簡単に変な方向にすべる。
- 曲線も彫れる。
- 深く彫るほど溝が太くなる。
- 溝の幅の細かい調整ができない
ラインチゼル・スジ彫りカーバイト・ラインスクライバー
- 色々な太さが用意されているので狙った幅の溝が彫れる。
- 溝の太さが一定になる。深く彫っても幅は変わらない。
- 一回で深く彫れる。(スジ彫りカーバイトはやや浅い)
- 持ち手が別売りの物がある。純正の持ち手は結構高い
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